佐渡では昔からそばが盛んに食べられてきました。
特に小木はそば屋がたくさん立ち並んでいたと言います。
船乗りにとってはサッと食べられるのが有難かったようです。
今では2軒だけとなってしまいましたが、
小木に来るとそばを食べるという人もたくさんいます。
今回紹介するのはそのうちの1軒、“生そば七右衛門”です。
5代続く老舗のそば屋で現在の建物は明治38年に建てられました。
司馬遼太郎ら著名人が訪れたことでも知られています。
席に着くなりまず「何杯にする?」と聞かれます。
そう、ここのお店はメニューが「ぶっかけそば」1種類しかありません!
おとなだと最低2杯は注文したいところです。
奥の釜で茹で上がったそばは小さめのどんぶりに盛られて提供されます。
具材は刻んだネギのみと至極シンプルな一杯。
徳利に入ったそばつゆをひたひたになるまでかけて頂きます。
このつゆがなんとも絶品です!他では味わえない独特の風味とほのかな甘みがそばを引き立てます。
そばを味わうと同時に眺めていただきたいのが店の造りです。
まず目につくのが高い吹き抜けです。
煮炊きをした際の煙を逃がすための構造だとされています。
2階には吹き抜けを囲むように部屋が配置されており、
タンスと階段が一緒になった“箱箪笥”を使って上がれるようになっています。
この箱箪笥、昔はあちこちの家にありましたが、
今では中々見ることのできない貴重な物です。
もうひとつ見ていただきたいのがそばの出前に使うおかもちです。
ちょっと前までは出前が圧倒的に多く、おかもちをフル稼働させていたそうです。
中には今の建物ができる前から使われている物もあります。
(大火の際に持ち出して難を逃れたんだとか)
こうしたお話を懐かしむように語ってくださるお母さんの人柄も素晴らしく、
なんだか田舎に帰ってきたような気分にさせてくれます。
小木に訪れた際のお昼に名物“七右衛門のおそば”はいかがでしょうか?
しなしなグルメ
生そば七右衛門―著名人も通った名店―
